【パワプロ2020】守備率と失点の関係について【ペナント検証】
更新履歴
更新日 |
Ver |
内容 |
---|---|---|
2021/09/19 |
1.21 |
アイキャッチ画像およびデータセットを更新 |
2021/09/18 |
1.20 |
|
2021/05/01 |
1.11 |
データセットを更新 |
2021/04/29 |
1.10 |
|
2021/03/21 |
1.00 |
公開 |
0.目次
1.はじめに
今回は野手の守備率がチームの総失点に及ぼす影響について検証します。オーペナ界隈では選手の能力を統一して各ポジションの守備能力を少しずつ変えていく対照実験が主流ですが、本検証ではチームの総失点と防御率、そして各ポジションの守備率を用いた多変量解析を行います。
検証の意義や目的についてはこちらの記事をご覧下さい。
2.方法
・Ver.1.05、1.06、1.07、1.13の環境で検証
・リーグ編成は弄らずにセパ12球団のチーム成績及び個人成績を30回分記録
・データセットはこちらを使用
・各チームの起用法は特能の有無や左右のバランスを見ながら筆者が恣意的に決定
・投手は50イニング以上投げた選手のみ分析に利用
・日程は早送りで開幕戦からシーズン終了までノンストップで消化し、データの記録が終わったらリセット
3.設定
・能力変化、ケガ、疲労、ノリノリ&スランプなし
・トレード、新外国人獲得なし
・選手の調子は「ふつう」で固定
・キャッチャーリード効果は「ふつう」に設定
・1軍と2軍の入れ替えなし
・投手は起用法を「おまかせ」に設定
・先発は6人、中継ぎは7人または6人に固定
・投手のスタミナは「全回復」に設定
・野手はスタメン、打順、守備位置を固定
・野手の起用法は「フル出場」に設定
・セの指名打者は9番に固定
・交流戦は全てパの主催試合に設定
4.用語の説明
・被説明変数、説明変数
それぞれ数式のYとXに当たる部分。ここに選手のデータを当てはめることで係数(能力の効果)を算出する。
・標準誤差(S.E.)
係数の標準誤差。小さいほど精度の高い推定。
・t値
係数の有意性(意味がある説明変数かどうか)を検定するための統計量。概ね絶対値が2より大きければ問題ない。
・p値
説明変数として意味の無い(係数がゼロである)確率。小さければ有意(意味のある説明変数)と判断する。
・標本標準偏差(s)
回帰式の誤差の標準偏差。小さい方が良い。
・(自由度修正済み)決定係数
被説明変数の動きのうち、説明変数の動きで説明できる割合(回帰式の当てはまりの良さ)を示す。1が最も良い。
5.検証
失点の対数を被説明変数に、防御率の対数と各ポジションの守備率を説明変数に加え、重回帰分析を行いました。
被説明変数 |
l_失点 |
---|---|
標本サイズ |
360 |
係数 |
S.E. |
t値 |
p値 |
|
---|---|---|---|---|
定数項 |
8.396 |
0.865 |
9.709 |
0.000 |
l_防御率 |
0.945 |
0.009 |
110.3 |
0.000 |
捕手守備率 |
-0.232 |
0.768 |
-0.302 |
0.763 |
一塁手守備率 |
-1.324 |
0.338 |
-3.915 |
0.000 |
二塁手守備率 |
-0.463 |
0.106 |
-4.352 |
0.000 |
三塁手守備率 |
-0.262 |
0.066 |
-3.942 |
0.000 |
遊撃手守備率 |
-0.638 |
0.110 |
-5.786 |
0.000 |
左翼手守備率 |
-0.113 |
0.038 |
-3.014 |
0.003 |
中堅手守備率 |
-0.175 |
0.043 |
-4.106 |
0.000 |
右翼手守備率 |
-0.144 |
0.039 |
-3.723 |
0.000 |
標本標準偏差 |
0.015 |
---|---|
修正済み決定係数 |
0.970 |
-2015.62 |
失点のうち、投手に関係する部分を防御率で、守備に関係する部分を守備率で表現しています。案の定、捕手の守備率は有意となりませんでした。
次に、各ポジションの重要度を比較するために、守備率を標準化(データの平均値を0、標準偏差を1に変換)して推定を行いました。
被説明変数 |
l_失点 |
---|---|
標本サイズ |
360 |
係数 |
S.E. |
t値 |
p値 |
|
---|---|---|---|---|
定数項 |
5.097 |
0.011 |
446.8 |
0.000 |
l_防御率 |
0.945 |
0.009 |
110.3 |
0.000 |
s_捕手守備率 |
-.0002 |
.0008 |
-0.302 |
0.763 |
s_一塁手守備率 |
-.0033 |
.0008 |
-3.915 |
0.000 |
s_二塁手守備率 |
-.0037 |
.0008 |
-4.352 |
0.000 |
s_三塁手守備率 |
-.0031 |
.0008 |
-3.942 |
0.000 |
s_遊撃手守備率 |
-.0047 |
.0008 |
-5.786 |
0.000 |
s_左翼手守備率 |
-.0022 |
.0007 |
-3.014 |
0.003 |
s_中堅手守備率 |
-.0036 |
.0009 |
-4.106 |
0.000 |
s_右翼手守備率 |
-.0030 |
.0008 |
-3.723 |
0.000 |
標本標準偏差 |
0.015 |
---|---|
修正済み決定係数 |
0.970 |
-2015.62 |
ポジションごとの係数と標準誤差を揃えたうえで、係数を基準に守備位置の重要度をランク分けしました。
係数 | 守備位置 | |
---|---|---|
A |
.0040~ |
遊撃手 |
B |
.0035~.0040 |
|
C |
.0032~.0035 |
|
D |
.0027~.0032 |
|
E |
~.0027 |
|
F |
有意差なし |
捕手 |
6.最後に
おおよそ見た目通りの結果となりました。ただ、守備率だけでは守備が投手に及ぼす影響全てを観測できているとは言えないので、近いうちに守備能力そのものを用いた検証についても行ってみようと思っています。
次回はIsoPと能力の関係について検証します。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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