オーペナにっき!

パワプロのペナントモードについて書きます。

【パワプロ2020】本塁打率と能力の関係について【ペナント検証】

更新履歴

更新日
Ver
内容
2022/03/06
1.30
  • 標本サイズを2925から3403に変更
  • 説明変数に新たなリーグダミー(リーグ6)を追加
  • 考察およびランク分けの修正
2021/09/19
1.21
アイキャッチ画像およびデータセットを更新
2021/09/12
1.20
  • 標本サイズを2434から2925に変更
  • 説明変数に対戦球団の中継ぎ人数を追加
  • 説明変数に1番打者および2番打者を追加
  • 説明変数に各ランク特能の二乗項を追加
  • 説明変数「バント〇&バント職人」を「バント〇」と「バント職人」に分類
  • 説明変数に新たなリーグダミー(リーグ5)を追加
  • 考察およびランク分けの修正
2021/05/01
1.11
データセットを更新
2021/04/28
1.10
  • 標本サイズを1940から2434に変更
  • 説明変数に各基礎能力の二乗項を追加
  • 説明変数に「スイッチヒッター」を追加
  • 説明変数「コースヒッター」を「イン&アウトコースヒッター」と「ハイ&ローボールヒッター」に分類
  • 説明変数に「調子安定」「調子極端」を追加
  • 説明変数「打率」を削除
  • 説明変数に対戦球団の平均防御率を追加
  • 説明変数に新たなリーグダミー(リーグ4)を追加
  • 考察およびランク分けの修正
2021/03/15
1.00
公開



0.目次


1.はじめに

今回は本塁打率と能力の関係について検証します。検証の意義や目的についてはこちらの記事をご覧下さい。


2.方法

・Ver.1.05、1.06、1.07、1.13、1.16の環境で検証
・リーグ編成は弄らずにセパ12球団のチーム成績及び個人成績を30回分記録
・データセットこちらを使用
・各チームの起用法は特能の有無や左右のバランスを見ながら筆者が恣意的に決定
・投手は50イニング以上投げた選手のみ分析に利用
・日程は早送りで開幕戦からシーズン終了までノンストップで消化し、データの記録が終わったらリセット


3.設定

・能力変化、ケガ、疲労、ノリノリ&スランプなし
・トレード、新外国人獲得なし
・選手の調子は「ふつう」で固定
・キャッチャーリード効果は「ふつう」に設定
・1軍と2軍の入れ替えなし
・投手は起用法を「おまかせ」に設定
・先発は6人、中継ぎは7人または6人に固定
・投手のスタミナは「全回復」に設定
・野手はスタメン、打順、守備位置を固定
・野手の起用法は「フル出場」に設定
・セの指名打者は9番に固定
交流戦は全てパの主催試合に設定


4.用語の説明

・被説明変数、説明変数
それぞれ数式のYとXに当たる部分。ここに選手のデータを当てはめることで係数(能力の効果)を算出する。


・標準誤差(S.E.)
係数の標準誤差。小さいほど精度の高い推定。


・t値
係数の有意性(意味がある説明変数かどうか)を検定するための統計量。概ね絶対値が2より大きければ問題ない。


・p値
説明変数として意味の無い(係数がゼロである)確率。小さければ有意(意味のある説明変数)と判断する。


・標本標準偏差(s)
回帰式の誤差の標準偏差。小さい方が良い。


・(自由度修正済み)決定係数
被説明変数の動きのうち、説明変数の動きで説明できる割合(回帰式の当てはまりの良さ)を示す。1が最も良い。


赤池情報量基準(AIC
回帰式の当てはまりの良さを示す。小さいほど良い。


5.変数の説明

・左打者、スイッチヒッター、打順は該当する選手を1、それ以外を0で分類
・チャンスなどのランク特能はAを7、Gを1で分類
・アベレージヒッターなどの非ランク特能は所持を1、非所持を0で分類
・対防御率は対戦投手の成績の傾向を表す変数で、(同リーグ5球団の平均防御率)×125/143+(他リーグ6球団の平均防御率)×18/143で計算
・リーグ1~6は各期間における対戦投手の能力差を表す変数で、パ・リーグを1、セ・リーグを0で分類


6.検証

今回は打率の検証で使用した3563人のうち、本塁打率が350.0以下の3403人のデータを用います。
本塁打率の対数を被説明変数に、野手の能力及びその他の情報を説明変数に加え、重回帰分析を行いました。

被説明変数
標本サイズ
3403
係数
S.E.
t値
p値
定数項
10.558
0.315
33.541
0.000
左打者
0.032
0.017
1.920
0.055
-0.001
0.024
-0.063
0.992
対中継ぎ人数
-0.001
0.024
-0.063
0.949
1番打者
-0.009
0.024
-0.385
0.701
2番打者
0.081
0.023
3.520
0.000
3番打者
-0.007
0.024
-0.289
0.772
4番打者
0.010
0.023
0.418
0.676
5番打者
-0.018
0.018
-0.982
0.326
弾道
-0.549
0.092
-5.936
0.000
(弾道)2
0.050
0.014
3.503
0.000
ミート
0.004
0.004
0.884
0.377
(ミート)2/100
-0.004
0.004
-0.969
0.333
パワー
-0.099
0.007
-14.217
0.000
(パワー)2/100
0.049
0.005
9.316
0.000
チャンス
-0.100
0.038
-2.616
0.009
(チャンス)2
0.010
0.005
2.110
0.035
対左投手
0.028
0.030
0.922
0.357
(対左投手)2
-0.002
0.004
-0.680
0.496
恐怖の満塁男
-0.036
0.042
-0.857
0.391
アベレージヒッター
-0.021
0.043
-0.500
0.617
パワーヒッター
-0.307
0.022
-14.205
0.000
プルヒッター
-0.169
0.015
-10.949
0.000
広角打法
-0.246
0.017
-14.368
0.000
流し打ち
-0.011
0.018
-0.578
0.563
固め打ち
0.001
0.015
0.060
0.952
粘り打ち
0.008
0.026
0.324
0.746
バント〇
0.028
0.020
1.445
0.148
バント職人
-0.130
0.035
-3.702
0.002
初球〇
-0.117
0.015
-8.086
0.000
チャンスメーカー
0.031
0.044
0.710
0.478
0.019
0.014
1.382
0.167
サヨナラ男
-0.067
0.019
-3.597
0.002
意外性
-0.197
0.044
-4.446
0.000
逆境〇
-0.097
0.020
-4.812
0.000
いぶし銀
-0.133
0.056
-2.360
0.018
威圧感
-0.014
0.046
-0.301
0.763
ラインドライブ
-0.001
0.037
-0.018
0.986
イン&アウト
コースヒッター
-0.139
0.020
-6.897
0.000
ハイ&ロー
ボールヒッター
-0.175
0.019
-9.114
0.000
ダメ押し
-0.160
0.035
-4.552
0.000
対変化球〇
-0.096
0.023
-4.139
0.004
カット打ち
-0.043
0.030
-1.435
0.151
悪球打ち
-0.036
0.021
-1.698
0.090
三振
-0.013
0.017
-0.765
0.444
併殺
0.030
0.014
2.093
0.036
調子安定
-0.101
0.038
-2.673
0.008
調子極端
-0.008
0.026
-0.289
0.772
選球眼
0.024
0.015
1.591
0.112
キラー
-0.053
0.015
-3.539
0.000
季節男
-0.027
0.019
-1.430
0.153
ミート多用
-0.062
0.042
-1.470
0.142
強振多用
-0.010
0.016
-0.654
0.513
積極打法
-0.026
0.016
-1.655
0.098
慎重打法
-0.031
0.018
-1.671
0.095
チームプレイ〇
-0.042
0.024
-1.761
0.077
-0.293
0.047
-6.268
0.000
リーグ1
0.097
0.031
3.127
0.002
リーグ2
0.143
0.028
5.038
0.000
リーグ3
0.082
0.021
3.929
0.000
リーグ4
0.033
0.031
1.077
0.281
リーグ5
0.108
0.026
4.179
0.000
リーグ6
0.075
0.026
2.828
0.005
0.318
修正済み決定係数
0.823
1931.84

係数が正の能力は本塁打率悪化、負の能力は本塁打率良化を表しています。概ね青特は負、赤特は正となっています。
次に、本塁打率への影響が小さいと予想される変数を取り除いて推定を行います。

被説明変数
標本サイズ
3403
係数
S.E.
t値
p値
定数項
10.772
0.266
40.427
0.000
左打者
0.031
0.015
2.087
0.037
2番打者
0.084
0.018
4.578
0.000
弾道
-0.572
0.085
-6.755
0.000
(弾道)2
0.053
0.013
4.117
0.000
パワー
-0.099
0.006
-15.796
0.000
(パワー)2/100
0.049
0.005
10.305
0.000
チャンス
-0.103
0.035
-2.971
0.003
(チャンス)2
0.010
0.004
2.427
0.015
恐怖の満塁男
-0.056
0.039
-1.446
0.148
パワーヒッター
-0.298
0.020
-14.887
0.000
プルヒッター
-0.168
0.015
-11.440
0.000
広角打法
-0.246
0.016
-15.663
0.000
バント〇
0.026
0.018
1.415
0.157
バント職人
-0.126
0.033
-3.825
0.000
初球〇
-0.118
0.013
-8.749
0.000
0.018
0.013
1.344
0.179
サヨナラ男
-0.068
0.016
-4.157
0.000
意外性
-0.202
0.042
-4.754
0.000
逆境〇
-0.089
0.019
-4.733
0.000
いぶし銀
-0.137
0.053
-2.581
0.010
イン&アウト
コースヒッター
-0.133
0.019
-6.900
0.000
ハイ&ロー
ボールヒッター
-0.178
0.017
-10.507
0.000
ダメ押し
-0.157
0.033
-4.767
0.000
対変化球〇
-0.098
0.021
-4.612
0.000
カット打ち
-0.039
0.028
-1.371
0.170
悪球打ち
-0.040
0.020
-1.963
0.050
併殺
0.031
0.013
2.407
0.016
調子安定
-0.116
0.029
-3.970
0.000
選球眼
0.025
0.014
1.851
0.064
キラー
-0.050
0.014
-3.657
0.000
季節男
-0.027
0.019
-1.476
0.140
ミート多用
-0.077
0.039
-1.991
0.046
積極打法
-0.028
0.014
-1.971
0.049
慎重打法
-0.034
0.017
-2.022
0.043
チームプレイ〇
-0.038
0.023
-1.683
0.092
-0.302
0.044
-6.911
0.000
リーグ1
0.095
0.026
3.689
0.000
リーグ2
0.141
0.027
5.309
0.000
リーグ3
0.082
0.020
4.108
0.000
リーグ4
0.030
0.031
0.979
0.328
リーグ5
0.110
0.025
4.384
0.000
リーグ6
0.076
0.026
2.923
0.003
0.318
修正済み決定係数
0.824
1900.24

上は分析に必要がないと判断した変数を取り除いたモデルの推定結果です。この結果をもとに考察を進めます。


7.考察

特に気になった結果について以下に記述します。


・弾道
一乗項が負、二乗項が正となっているため、上昇するにつれて本塁打率への寄与は減少します。ただ、3→4の効果も他の能力に比べると大きいため、最大値まで伸ばす価値はありそうです。

効果
2→3
0.305
3→4
0.199


・パワー
一乗項が負、二乗項が正となっているため、上昇するにつれて本塁打率への寄与は減少します。弾道と同じく、重要な能力であると言えます。

効果
30→40
0.652
40→50
0.554
50→60
0.457
60→70
0.359
70→80
0.261
80→90
0.164


・チャンス
一乗項が負、二乗項が正となっているため、上昇するにつれて本塁打率への寄与は減少します。青特である場合はほとんど影響しませんが、赤特である場合は強く影響します。

効果
G→F
0.073
F→E
0.053
E→D
0.032
D→C
0.012
C→B
-0.008
B→A
-0.028


・パワーヒッター
予想通り全特能で最も大きな係数となりました。長距離砲を育成する際には必須級の能力であると言えます。


・意外性
パワーヒッター、広角打法に次ぐ係数となりました。条件付きではありますが、強力な能力であることは間違いないでしょう。


・いぶし銀
予想よりも係数が大きくなりました。対象が限定されているため、係数の精度について追加の検証が必要ですが、見栄えに反してその影響は強そうです。


・悪球打ち
打率の悪化に寄与する能力ですが、本塁打にはプラスの影響を及ぼしていると考えられます。本来、強振多用に求められる効果です。


8.特能のランク分け

以上の結果を踏まえて、係数を基準に特能をランク分けしました。「有意差なし」は本塁打率に影響する可能性が低いことを意味しています。


係数
特能
0.250~
パワーヒッター
0.200~0.250
広角打法意外性
0.160~0.200
プルヒッターハイ&ローボールヒッター
0.120~0.160
バント職人いぶし銀イン&アウトコースヒッターダメ押し
0.080~0.120
初球〇逆境〇対変化球〇調子安定
0.000~0.080
チャンスサヨナラ男悪球打ち積極打法慎重打法ミート多用チームプレイ〇
有意差なし
対左投手恐怖の満塁男アベレージヒッター流し打ち固め打ち粘り打ちバント〇チャンスメーカー威圧感ラインドライブカット打ち調子極端強振多用
~0.000
満塁男選球眼
※係数の符号は負


9.推定の精度について

12球団を代表して、西武の山川選手の35回分の本塁打率の対数と理論値を紹介します。

理論値
1
2.728
2.596
0.132
2
2.398
2.560
0.162
3
2.208
2.548
0.340
4
2.667
2.545
0.122
5
2.754
2.590
0.163
6
2.518
2.595
0.077
7
2.542
2.592
0.050
8
2.695
2.631
0.064
9
2.603
2.613
0.010
10
2.681
2.634
0.047
11
2.874
2.639
0.235
12
2.625
2.609
0.016
13
2.380
2.688
0.309
14
2.721
2.654
0.067
15
2.785
2.654
0.131
16
2.821
2.696
0.125
17
2.303
2.639
0.336
18
2.681
2.667
0.014
19
2.862
2.669
0.193
20
2.332
2.645
0.313
21
2.681
2.705
0.024
22
2.502
2.693
0.191
23
2.485
2.705
0.220
24
2.595
2.708
0.113
25
2.646
2.738
0.092
26
2.624
2.553
0.071
27
2.351
2.541
0.190
28
2.868
2.529
0.339
29
2.477
2.508
0.031
30
2.632
2.544
0.088
31
2.833
2.881
0.048
32
2.595
2.872
0.277
33
2.773
2.894
0.121
34
2.734
2.893
0.159
35
3.161
2.869
0.292


10.最後に

近いうちにパワー別の比較についても行う予定です。
次回は守備率と失点の関係について検証します。
最後までご覧いただきありがとうございました!


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