オーペナにっき!

パワプロのペナントモードについて書きます。

【パワプロ2020】三振率と能力の関係について【ペナント検証】

更新履歴

更新日
Ver
内容
2022/03/20
1.10
  • 標本サイズを3053から3563に変更
  • 説明変数に新たなリーグダミー(リーグ6)を追加
  • 考察およびランク分けの修正
2021/9/25
1.00
公開



0.目次


1.はじめに

今回は野手の三振率と能力の関係について検証します。検証の意義や目的についてはこちらの記事をご覧下さい。


2.方法

・Ver.1.05、1.06、1.07、1.13、1.16の環境で検証
・リーグ編成は弄らずにセパ12球団のチーム成績及び個人成績を35回分記録
・データセットこちらを使用
・各チームの起用法は特能の有無や左右のバランスを見ながら筆者が恣意的に決定
・投手は50イニング以上投げた選手のみ分析に利用
・日程は早送りで開幕戦からシーズン終了までノンストップで消化し、データの記録が終わったらリセット


3.設定

・能力変化、ケガ、疲労、ノリノリ&スランプなし
・トレード、新外国人獲得なし
・選手の調子は「ふつう」で固定
・キャッチャーリード効果は「ふつう」に設定
・1軍と2軍の入れ替えなし
・投手は起用法を「おまかせ」に設定
・先発は6人、中継ぎは7人または6人に固定
・投手のスタミナは「全回復」に設定
・野手はスタメン、打順、守備位置を固定
・野手の起用法は「フル出場」に設定
・セの指名打者は9番に固定
交流戦は全てパの主催試合に設定


4.用語の説明

・被説明変数、説明変数
それぞれ数式のYとXに当たる部分。ここに選手のデータを当てはめることで係数(能力の効果)を算出する。


・標準誤差(S.E.)
係数の標準誤差。小さいほど精度の高い推定。


・t値
係数の有意性(意味がある説明変数かどうか)を検定するための統計量。概ね絶対値が2より大きければ問題ない。


・p値
説明変数として意味の無い(係数がゼロである)確率。小さければ有意(意味のある説明変数)と判断する。


・標本標準偏差(s)
回帰式の誤差の標準偏差。小さい方が良い。


・(自由度修正済み)決定係数
被説明変数の動きのうち、説明変数の動きで説明できる割合(回帰式の当てはまりの良さ)を示す。1が最も良い。


赤池情報量基準(AIC
回帰式の当てはまりの良さを示す。小さいほど良い。


5.変数の説明

・左打者、スイッチヒッター、打順は該当する選手を1、それ以外を0で分類
・チャンスなどのランク特能はAを7、Gを1で分類
・アベレージヒッターなどの非ランク特能は所持を1、非所持を0で分類
・対防御率は対戦投手の成績の傾向を表す変数で、(同リーグ5球団の平均防御率)×125/143+(他リーグ6球団の平均防御率)×18/143で計算
・リーグ1~6は各期間における対戦投手の能力差を表す変数で、パ・リーグを1、セ・リーグを0で分類


6.検証

今回は収集したデータのうち、打率が.150以上である3563人のデータを用います。
三振率の対数を被説明変数に、野手の能力及びその他の情報を説明変数に加え、重回帰分析を行いました。

被説明変数
l_三振率
標本サイズ
3563
係数
S.E.
t値
p値
定数項
-.8122
.0892
-9.100
0.000
左打者
-.0034
.0046
-0.750
0.453
.0118
.0116
1.012
0.312
対中継ぎ人数
-.0245
.0075
-3.284
0.001
1番打者
-.0141
.0068
-2.082
0.037
2番打者
-.0463
.0064
-7.292
0.000
3番打者
-.0016
.0086
-0.182
0.855
4番打者
.0007
0.088
0.930
5番打者
.0183
.0060
3.040
0.002
弾道
.0403
.0263
1.532
0.125
(弾道)2
-.0057
.0043
-1.325
0.185
ミート
-.0121
.0011
-10.579
0.000
(ミート)2/100
.0017
.0011
1.533
0.125
パワー
.0040
.0018
2.227
0.026
(パワー)2/100
-.0016
.0015
-1.083
0.279
チャンス
-.0346
.0105
-3.279
0.001
(チャンス)2
.0033
.0013
2.588
0.010
対左投手
-.0091
.0078
-1.176
0.240
(対左投手)2
.0002
.0009
0.235
0.814
恐怖の満塁男
-.0231
.0154
-1.498
0.134
アベレージヒッター
-.1096
.0138
-7.964
0.000
パワーヒッター
.0307
.0090
3.407
0.001
プルヒッター
.0023
.0048
0.479
0.632
広角打法
.0121
.0062
1.948
0.051
流し打ち
-.0541
.0050
-10.897
0.000
固め打ち
-.0073
.0045
-1.608
0.108
粘り打ち
-.1326
.0067
-19.735
0.000
バント〇
-.0012
.0052
-0.228
0.820
バント職人
-.0013
.0109
-0.117
0.907
内野安打〇
-.0171
.0056
-3.052
0.002
初球〇
-.0187
.0043
-4.376
0.000
チャンスメーカー
-.0771
.0092
-8.401
0.000
-.0103
.0039
-2.632
0.008
サヨナラ男
-.0135
.0052
-2.616
0.009
意外性
-.0045
.0100
-0.447
0.655
逆境〇
-.0053
.0064
-0.824
0.410
いぶし銀
-.0222
.0149
-1.484
0.138
威圧感
-.0386
.0217
-1.781
0.075
ラインドライブ
-.0113
.0111
-1.018
0.308
イン&アウト
コースヒッター
.0047
.0066
0.702
0.483
ハイ&ロー
ボールヒッター
-.0029
.0058
-0.495
0.621
ダメ押し
.0114
.0086
1.331
0.183
対変化球〇
-.0220
.0074
-2.978
0.003
カット打ち
.0036
.0086
0.417
0.677
悪球打ち
-.0081
.0063
-1.281
0.200
三振
.1589
.0045
35.417
0.000
併殺
.0102
.0041
2.469
0.014
調子安定
.0435
.0153
2.846
0.004
調子極端
-.0126
.0070
-1.806
0.071
選球眼
.0042
.0041
1.024
0.306
キラー
-.0175
.0047
-3.745
0.000
季節男
.0050
.0060
0.835
0.404
ミート多用
-.0168
.0098
-1.716
0.086
強振多用
.0204
.0054
3.747
0.000
積極打法
.0076
.0045
1.693
0.090
慎重打法
.0005
.0052
0.095
0.924
チームプレイ〇
-.0094
.0062
-1.528
0.126
-.0714
.0139
-5.130
0.000
リーグ1
.0307
.0093
3.293
0.001
リーグ2
.0223
.0078
2.878
0.004
リーグ3
.0033
.0059
0.558
0.577
リーグ4
-.0125
.0087
-1.441
0.150
リーグ5
.0284
.0070
4.064
0.000
リーグ6
.0296
.0075
3.965
0.000
.0936
修正済み決定係数
0.819
-6706.8

係数が正の能力は三振率良化、負の能力は三振率悪化を表しています。次に、三振率への影響が小さいと予想される変数を取り除いて推定を行います。


被説明変数
l_三振率
標本サイズ
3563
係数
S.E.
t値
p値
定数項
-.8309
.0675
-12.316
0.000
対中継ぎ人数
-.0242
.0074
-3.280
0.001
1番打者
-.0174
.0060
-2.922
0.003
2番打者
-.0486
.0055
-8.790
0.000
弾道
.0574
.0228
2.516
0.012
(弾道)2
-.0085
.0037
-2.297
0.022
ミート
-.0105
.0002
-46.854
0.000
パワー
.0022
.0003
7.919
0.000
チャンス
-.0347
.0099
-3.501
0.000
(チャンス)2
.0033
.0012
2.708
0.007
対左投手
-.0066
.0016
-4.174
0.000
恐怖の満塁男
-.0175
.0132
-1.325
0.185
アベレージヒッター
-.1067
.0116
-9.186
0.000
パワーヒッター
.0238
.0085
2.784
0.005
広角打法
.0098
.0052
1.892
0.059
流し打ち
-.0512
.0043
-11.828
0.000
固め打ち
-.0057
.0042
-1.358
0.174
粘り打ち
-.1262
.0061
-20.600
0.000
内野安打〇
-.0150
.0052
-2.867
0.004
初球〇
-.0173
.0040
-4.310
0.000
チャンスメーカー
-.0806
.0082
-9.769
0.000
-.0091
.0037
-2.450
0.014
サヨナラ男
-.0105
.0045
-2.329
0.020
いぶし銀
-.0265
.0139
-1.910
0.056
威圧感
-.0428
.0208
-2.057
0.040
対変化球〇
-.0192
.0069
-2.774
0.006
三振
.1606
.0041
39.383
0.000
併殺
.0087
.0038
2.291
0.022
調子安定
.0450
.0138
3.252
0.001
調子極端
-.0150
.0060
-2.518
0.012
キラー
-.0181
.0045
-4.032
0.000
ミート多用
-.0196
.0088
-2.231
0.026
強振多用
.0190
.0051
3.743
0.000
チームプレイ〇
-.0118
.0052
-2.273
0.023
-.0705
.0138
-5.110
0.000
リーグ1
.0304
.0091
3.336
0.001
リーグ2
.0226
.0074
3.035
0.002
リーグ3
.0039
.0055
0.698
0.485
リーグ4
-.0126
.0086
-1.455
0.146
リーグ5
.0292
.0067
4.381
0.000
リーグ6
.0308
.0073
4.209
0.000
.0936
修正済み決定係数
0.819
-6727.7

上は分析に必要がないと判断した変数を取り除いたモデルの推定結果です。この結果をもとに考察を進めます。


7.考察

特に気になった能力について以下に記述します。


・弾道
一乗項が正、二乗項が負であるため、上昇するにつれて三振率への寄与は増加します。2→3で悪化、3→4で良化というよく分からない結果になりました。

効果
2→3
-.0150
3→4
.0020


・ミート
1上昇するだけで特能並みの良化効果を生みます。イメージ通りです。


・チャンス
一乗項が負、二乗項が正であるため、上昇するにつれて三振率への寄与は減少します。

効果
G→F
.0248
F→E
.0183
E→D
.0117
D→C
.0051
C→B
-.0015
B→A


・パワーヒッター
係数は正で有意となりました。IsoPと三振率はそれなりに相関がありそうです。


・アベレージヒッター
大本命粘り打ちに迫る係数となりました。IsoP同様、打率も三振率と相関がありそうです。


・三振
予想通り、大きく悪化となりました。ただ、三振は他の打撃指標にほとんど影響しないので、三振率を良化させるためだけにわざわざ練習指示をしてまで削除する必要はないと思います。


8.特能のランク分け

以上の結果を踏まえて、係数を基準に特能をランク分けしました。「有意差なし」は三振率に影響する可能性が低いことを意味しています。


係数
特能
.100~
アベレージヒッター粘り打ち
.050~.100
流し打ちチャンスメーカー
.020~.050
いぶし銀威圧感
.010~.020
内野安打〇初球〇サヨナラ男対変化球〇調子極端ミート多用チームプレイ〇
.000~.010
チャンス対左投手満塁男
有意差なし
恐怖の満塁男プルヒッター固め打ちバント〇バント職人意外性逆境〇ラインドライブイン&アウトコースヒッターハイ&ローボールヒッターダメ押しカット打ち悪球打ち選球眼積極打法慎重打法
~.000
パワーヒッター広角打法調子安定強振多用
※係数の符号は負


9.推定の精度について

12球団を代表して、楽天の浅村選手の35回分の三振率と理論値を紹介します。

l_三振率
理論値
1
1.390
1.491
0.100
2
1.461
1.498
0.037
3
1.537
1.505
0.032
4
1.523
1.504
0.019
5
1.492
1.501
0.009
6
1.410
1.483
0.073
7
1.407
1.477
0.070
8
1.452
1.478
0.026
9
1.478
1.487
0.009
10
1.313
1.476
0.163
11
1.661
1.668
0.007
12
1.630
1.732
0.102
13
1.546
1.642
0.104
14
1.556
1.672
0.116
15
1.778
1.667
0.111
16
1.537
1.662
0.125
17
1.666
1.721
0.055
18
1.655
1.662
0.007
19
1.415
1.667
0.252
20
1.720
1.671
0.049
21
1.496
1.495
0.001
22
1.448
1.490
0.042
23
1.427
1.492
0.065
24
1.483
1.487
0.004
25
1.470
1.484
0.014
26
1.427
1.492
0.065
27
1.599
1.489
0.110
28
1.514
1.496
0.018
29
1.461
1.505
0.044
30
1.306
1.497
0.191
31
1.671
1.624
0.047
32
1.704
1.622
0.082
33
1.615
1.614
0.001
34
1.556
1.616
0.060
35
1.666
1.625
0.041
※係数の符号は負


10.最後に

オーペナでは意識することの少ない指標ですが、見栄え意識で三振の赤特を付けたくないような選手がいる場合には、この記事の情報も少しは活きてくるのかなと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございました!


使用ソフト