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【パワプロ2020】盗塁数と能力の関係について【ペナント検証】

更新履歴

更新日
Ver
内容
2021/09/19
1.11
アイキャッチ画像およびデータセットを更新
2021/09/19
1.10
  • 標本サイズを2033から3053に変更
  • 説明変数に特殊能力「盗塁」の二乗項を追加
  • 考察の修正
2021/04/11
1.00
公開



0.目次


1.はじめに

今回は盗塁数と能力の関係について検証します。検証の意義や目的についてはこちらの記事をご覧下さい。


2.方法

・Ver.1.05、1.06、1.07、1.13の環境で検証
・リーグ編成は弄らずにセパ12球団のチーム成績及び個人成績を30回分記録
・データセットこちらを使用
・各チームの起用法は特能の有無や左右のバランスを見ながら筆者が恣意的に決定
・投手は50イニング以上投げた選手のみ分析に利用
・日程は早送りで開幕戦からシーズン終了までノンストップで消化し、データの記録が終わったらリセット


3.設定

・能力変化、ケガ、疲労、ノリノリ&スランプなし
・トレード、新外国人獲得なし
・選手の調子は「ふつう」で固定
・キャッチャーリード効果は「ふつう」に設定
・1軍と2軍の入れ替えなし
・投手は起用法を「おまかせ」に設定
・先発は6人、中継ぎは7人または6人に固定
・投手のスタミナは「全回復」に設定
・野手はスタメン、打順、守備位置を固定
・野手の起用法は「フル出場」に設定
・セの指名打者は9番に固定
交流戦は全てパの主催試合に設定


4.用語の説明

・被説明変数、説明変数
それぞれ数式のYとXに当たる部分。ここに選手のデータを当てはめることで係数(能力の効果)を算出する。


・標準誤差(S.E.)
係数の標準誤差。小さいほど精度の高い推定。


・t値
係数の有意性(意味がある説明変数かどうか)を検定するための統計量。概ね絶対値が2より大きければ問題ない。


・p値
説明変数として意味の無い(係数がゼロである)確率。小さければ有意(意味のある説明変数)と判断する。


・標本標準偏差(s)
回帰式の誤差の標準偏差。小さい方が良い。


・(自由度修正済み)決定係数
被説明変数の動きのうち、説明変数の動きで説明できる割合(回帰式の当てはまりの良さ)を示す。1が最も良い。


赤池情報量基準(AIC
回帰式の当てはまりの良さを示す。小さいほど良い。


5.変数の説明

・盗塁数との関係を指数関数で表現するため、走力の二乗項(を100で割った値)を追加
・ランク特能はAを7、Gを1で分類
・非ランク特能は所持を1、非所持を0で分類
・1番打者~8番打者は選手の打順を表し、それぞれ該当する選手を1、それ以外を0で分類
・対〇〇〇はそれぞれ対戦相手の平均能力値を表す


6.検証

今回は収集した3053人のデータを用います。
盗塁数を被説明変数に、野手の能力及びその他の情報を説明変数に加え、重回帰分析を行いました。なお、打率・IsoPIsoDについては、盗塁数に影響すると予想されるため、説明変数に加えています。

被説明変数
盗塁数
標本サイズ
3053
係数
S.E.
t値
p値
定数項
21.115
34.69
0.609
0.543
走力
-0.352
0.042
-8.341
0.000
(走力)2/100
0.554
0.038
14.568
0.000
盗塁
4.327
0.576
7.512
0.000
(盗塁)2
-0.237
0.075
-3.172
0.002
ヘッドスライディング
-0.733
0.289
-2.541
0.011
積極盗塁
13.261
0.348
38.071
0.000
慎重盗塁
-0.524
0.173
-3.022
0.003
打率
47.261
3.135
15.077
0.000
-20.821
1.989
-10.467
0.000
46.544
5.508
8.450
0.000
1番打者
7.637
0.530
14.422
0.000
2番打者
1.709
0.402
4.251
0.000
3番打者
0.626
0.426
1.471
0.141
4番打者
2.189
0.419
5.229
0.000
5番打者
1.642
0.369
4.448
0.000
6番打者
2.804
0.375
7.474
0.000
7番打者
2.452
0.372
6.590
0.000
8番打者
2.140
0.389
5.504
0.000
対球速
-0.266
0.201
-1.321
0.186
対コントロール
-0.166
0.113
-1.467
0.142
対総変化量
3.289
0.822
4.001
0.000
対クイック
-0.936
1.755
-0.534
0.594
対捕手肩力
-0.114
0.036
-3.168
0.002
対捕手守備力
-0.060
0.035
-1.710
0.087
対捕手捕球
-0.028
0.030
-0.919
0.358
対捕手送球
-0.378
0.245
-1.542
0.123
対捕手エラー
-0.681
0.964
-0.706
0.480
4.037
修正済み決定係数
0.899
17213.0

係数は盗塁数の増減を表しています。次に、盗塁への影響が小さいと予想される変数を取り除いて推定を行います。


被説明変数
盗塁数
標本サイズ
3053
係数
S.E.
t値
p値
定数項
-0.041
22.10
-0.002
0.999
走力
-0.356
0.042
-8.394
0.000
(走力)2/100
0.557
0.038
14.578
0.000
盗塁
4.304
0.574
7.497
0.000
(盗塁)2
-0.234
0.074
-3.146
0.002
ヘッドスライディング
-0.728
0.287
-2.540
0.011
積極盗塁
13.251
0.348
38.063
0.000
慎重盗塁
-0.530
0.173
-3.071
0.002
打率
47.179
3.127
15.089
0.000
-20.731
1.969
-10.526
0.000
46.592
5.514
8.450
0.000
1番打者
7.628
0.530
14.404
0.000
2番打者
1.699
0.401
4.234
0.000
3番打者
0.614
0.425
1.445
0.148
4番打者
2.170
0.417
5.203
0.000
5番打者
1.626
0.369
4.412
0.000
6番打者
2.791
0.375
7.447
0.000
7番打者
2.437
0.372
6.550
0.000
8番打者
2.129
0.389
5.469
0.000
対球速
-0.156
0.148
-1.053
0.292
対コントロール
-0.149
0.108
-1.372
0.170
対総変化量
3.130
0.797
3.926
0.000
対捕手肩力
-0.101
0.028
-3.655
0.000
対捕手守備力
-0.063
0.035
-1.791
0.073
対捕手捕球
-0.026
0.029
-0.905
0.365
対捕手送球
-0.344
0.241
-1.428
0.153
4.036
修正済み決定係数
0.899
17209.9

上は分析に必要がないと判断した変数を取り除いたモデルの推定結果です。この結果をもとに考察を進めます。


7.考察

特に気になった能力について以下に記述します。


・走力
係数は一乗項が負、二乗項が正となっているため、上昇するにつれて盗塁数への寄与も増加します。

効果
30→40
0.337
40→50
1.451
50→60
2.566
60→70
3.680
70→80
4.795
80→90
5.909


・盗塁
係数は一乗項が正、二乗項が負となっているため、上昇するにつれて盗塁数への寄与は減少します。盗塁の多い選手を育成したい場合、この能力が低いことは致命的なマイナスになり得ます。

効果
2→3
3.134
3→4
2.665
4→5
2.197
5→6
1.729
6→7
1.261


・積極盗塁
約13個の増加となりました。走力や盗塁といった能力よりも係数が大きく、盗塁王を目指す選手にとっては不可欠な要素であると言えます。


・慎重盗塁
負で有意となったものの、係数を考えるとそこまで意識する必要はなさそうです。


・打順
1番が最も盗塁数の増えやすい打順であると言えます。


8.推定の精度について

12球団を代表して、ソフトバンクの柳田選手の30回分の盗塁数と理論値を紹介します。

盗塁数
理論値
1
25.00
27.69
2.69
2
25.00
26.79
1.79
3
19.00
25.35
6.35
4
27.00
28.64
1.64
5
28.00
29.29
1.29
6
38.00
28.05
9.95
7
27.00
27.47
0.47
8
29.00
27.68
1.32
9
34.00
29.10
4.90
10
29.00
28.10
0.90
11
22.00
11.69
10.31
12
15.00
11.83
3.17
13
15.00
12.63
2.37
14
8.00
8.81
0.81
15
14.00
13.20
0.80
16
24.00
13.34
10.66
17
15.00
13.16
1.84
18
12.00
13.09
1.09
19
12.00
8.74
3.26
20
12.00
14.08
2.08
21
13.00
13.37
0.37
22
14.00
13.61
0.39
23
14.00
12.94
1.06
24
19.00
15.82
3.18
25
14.00
13.37
0.63
26
16.00
15.71
0.29
27
15.00
15.89
0.89
28
17.00
14.19
2.81
29
15.00
16.07
1.07
30
14.00
14.38
0.38


9.最後に

盗塁成功率については信頼のおける結果が得られませんでした。また改めて検証してみようと思います。
現在の標本による検証はひとまず終了となりますが、今後も更新は続けていくつもりです。
最後までご覧いただきありがとうございました!


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