オーペナにっき!

パワプロのペナントモードについて書きます。

【パワプロ2020】与四死球率と能力の関係について【ペナント検証】

更新履歴

更新日
Ver
内容
2021/09/20
1.00
公開



0.目次


1.はじめに

今回は与四死球率について検証します。本来は与四球率で検証を行うのが理想なのですが、ペナントの記録の仕様によりこのような形を取っています。検証の意義や目的についてはこちらの記事をご覧下さい。


2.方法

・Ver.1.05、1.06、1.07、1.13の環境で検証
・リーグ編成は弄らずにセパ12球団のチーム成績及び個人成績を30回分記録
・データセットこちらを使用
・各チームの起用法は特能の有無や左右のバランスを見ながら筆者が恣意的に決定
・投手は50イニング以上投げた選手のみ分析に利用
・日程は早送りで開幕戦からシーズン終了までノンストップで消化し、データの記録が終わったらリセット


3.設定

・能力変化、ケガ、疲労、ノリノリ&スランプなし
・トレード、新外国人獲得なし
・選手の調子は「ふつう」で固定
・キャッチャーリード効果は「ふつう」に設定
・1軍と2軍の入れ替えなし
・投手は起用法を「おまかせ」に設定
・先発は6人、中継ぎは7人または6人に固定
・投手のスタミナは「全回復」に設定
・野手はスタメン、打順、守備位置を固定
・野手の起用法は「フル出場」に設定
・セの指名打者は9番に固定
交流戦は全てパの主催試合に設定


4.用語の説明

・被説明変数、説明変数
それぞれ数式のYとXに当たる部分。ここに選手のデータを当てはめることで係数(能力の効果)を算出する。


・標準誤差(S.E.)
係数の標準誤差。小さいほど精度の高い推定。


・t値
係数の有意性(意味がある説明変数かどうか)を検定するための統計量。概ね絶対値が2より大きければ問題ない。


・p値
説明変数として意味の無い(係数がゼロである)確率。小さければ有意(意味のある説明変数)と判断する。


・標本標準偏差(s)
回帰式の誤差の標準偏差。小さい方が良い。


・(自由度修正済み)決定係数
被説明変数の動きのうち、説明変数の動きで説明できる割合(回帰式の当てはまりの良さ)を示す。1が最も良い。


赤池情報量基準(AIC
回帰式の当てはまりの良さを示す。小さいほど良い。


5.変数の説明

・中継ぎと左投手は該当する選手を1、それ以外を0で分類
・ストレート系の球種は変化量1.80として計算
・対ピンチなどのランク特能はAを7、Gを1で分類
・キレ〇などの非ランク特能は所持を1、非所持を0で分類
・対得点は対戦打者の成績の傾向を表す変数で、(同リーグ5球団の平均得点)×125/143+(他リーグ6球団の平均得点)×18/143で計算
・リーグ1~5は各期間におけるDH制や対戦打者の能力差を表す変数で、パ・リーグを1、セ・リーグを0で分類


6.検証

防御率の検証の際に使った4156人のデータを用います。
四死球率を被説明変数に、投手の能力及びその他の情報を説明変数に加え、重回帰分析を行いました。

被説明変数
四死球
標本サイズ
4156
係数
S.E.
t値
p値
定数項
-7.090
6.917
-1.025
0.305
キャッチャー
-0.156
0.021
-7.587
0.000
中継ぎ
0.073
0.036
2.037
0.042
中継ぎ人数
-0.077
0.051
-1.507
0.132
左投手
0.041
0.033
1.235
0.217
球速
0.224
0.095
2.371
0.018
(球速)2/100
-0.079
0.032
-2.490
0.013
-0.101
0.009
-11.361
0.000
(コントロール)2/100
0.047
0.008
6.130
0.000
球種
-0.363
0.346
-1.048
0.295
(球種)2/100
0.078
0.060
1.298
0.194
総変化量
-0.278
0.072
-3.841
0.000
(総変化量)2/100
0.015
0.004
3.422
0.001
最大変化量
0.163
0.108
1.506
0.132
(最大変化量)2/100
-0.020
0.012
-1.587
0.112
最小変化量
0.155
0.095
1.635
0.102
(最小変化量)2/100
-0.040
0.023
-1.759
0.079
対ピンチ
0.193
0.119
1.629
0.103
(対ピンチ)2
-0.019
0.015
-1.300
0.193
対左打者
-0.087
0.074
-1.174
0.240
(対左打者)2
-0.004
0.010
-0.421
0.674
打たれ強さ
0.024
0.096
0.250
0.803
(打たれ強さ)2
-0.011
0.011
-0.930
0.353
ノビ
0.160
0.054
2.985
0.003
(ノビ)2
-0.027
0.006
-4.350
0.000
クイック
0.200
0.093
2.140
0.032
(クイック)2
-0.027
0.011
-2.431
0.015
鉄腕
-0.587
0.201
-2.915
0.004
キレ〇
-0.001
0.036
-0.017
0.986
逃げ球
0.072
0.038
1.886
0.059
尻上がり
0.229
0.097
2.368
0.018
0.056
0.033
1.676
0.094
牽制〇
0.034
0.038
0.897
0.370
リリース〇
-0.082
0.031
-2.608
0.009
低め〇
-0.025
0.078
-0.321
0.748
-0.018
0.047
-0.375
0.708
打球反応〇
0.031
0.046
0.665
0.506
球持ち〇
-0.037
0.033
-1.125
0.261
緩急〇
0.004
0.038
0.110
0.913
緊急登板〇
-0.094
0.059
-1.607
0.108
球速安定
-0.010
0.037
-0.282
0.778
内角攻め
-0.204
0.037
-5.535
0.000
回またぎ〇
-0.131
0.059
-2.210
0.027
軽い球
0.260
0.066
3.951
0.000
一発
0.086
0.031
2.791
0.005
四球
1.176
0.034
51.740
0.000
寸前
0.154
0.077
1.992
0.046
スロースターター
0.047
0.044
1.071
0.284
シュート回転
-0.153
0.036
-4.238
0.000
乱調
-0.148
0.061
-2.431
0.015
調子安定
0.013
0.058
0.232
0.817
調子極端
0.078
0.046
1.675
0.094
キラー
-0.013
0.037
-0.357
0.721
季節男
-0.076
0.099
-0.766
0.444
速球中心
-0.136
0.041
-3.327
0.001
変化球中心
-0.010
0.036
-0.265
0.791
テンポ〇
-0.058
0.040
-1.439
0.150
対得点
0.001
0.001
1.850
0.064
リーグ1
0.102
0.071
1.429
0.153
リーグ2
0.051
0.053
0.955
0.340
リーグ3
-0.086
0.038
-2.267
0.023
リーグ4
-0.083
0.048
-1.732
0.083
リーグ5
0.037
0.052
0.707
0.479
0.761
修正済み決定係数
0.715
9590.25

係数が正の能力は与四死球率の悪化、負の能力は与四死球率の良化を表しています。
次に、与四死球率への影響が小さいと予想される変数を取り除いて推定を行います。

被説明変数
四死球
標本サイズ
4156
係数
S.E.
t値
p値
定数項
-5.524
6.355
-0.869
0.385
キャッチャー
-0.154
0.020
-7.623
0.000
中継ぎ
0.070
0.032
2.166
0.030
中継ぎ人数
-0.080
0.050
-1.597
0.110
左投手
0.048
0.030
1.606
0.108
球速
0.206
0.086
2.383
0.017
(球速)2/100
-0.073
0.029
-2.506
0.012
-0.101
0.009
-11.799
0.000
(コントロール)2/100
0.047
0.007
6.428
0.000
球種
0.073
0.040
1.817
0.069
総変化量
-0.227
0.061
-3.722
0.000
(総変化量)2/100
0.011
0.004
3.050
0.002
対ピンチ
0.045
0.016
2.769
0.006
対左打者
-0.114
0.013
-8.514
0.000
打たれ強さ
-0.063
0.013
-4.720
0.000
ノビ
0.161
0.051
3.147
0.002
(ノビ)2
-0.027
0.006
-4.552
0.000
クイック
0.154
0.085
1.802
0.072
(クイック)2
-0.021
0.010
-2.098
0.036
鉄腕
-0.572
0.191
-2.995
0.003
逃げ球
0.051
0.036
1.412
0.158
尻上がり
0.188
0.089
2.109
0.035
0.055
0.032
1.746
0.081
リリース〇
-0.074
0.029
-2.569
0.010
球持ち〇
-0.042
0.031
-1.371
0.170
緊急登板〇
-0.104
0.055
-1.896
0.058
内角攻め
-0.195
0.033
-5.821
0.000
回またぎ〇
-0.129
0.056
-2.279
0.023
軽い球
0.260
0.062
4.210
0.000
一発
0.091
0.029
3.145
0.002
四球
1.774
0.032
54.986
0.000
寸前
0.154
0.072
2.129
0.033
シュート回転
-0.147
0.033
-4.447
0.000
乱調
-0.147
0.059
-2.499
0.012
調子極端
0.074
0.043
1.740
0.082
速球中心
-0.130
0.040
-3.252
0.001
テンポ〇
-0.059
0.036
-1.642
0.101
対得点
0.002
0.001
2.019
0.043
リーグ1
0.079
0.067
1.173
0.241
リーグ2
0.028
0.051
0.549
0.583
リーグ3
-0.096
0.036
-2.684
0.007
リーグ4
-0.088
0.047
-1.875
0.061
リーグ5
0.036
0.051
0.697
0.486
0.761
修正済み決定係数
0.716
9563.25

上は分析に必要がないと判断した変数を取り除いたモデルの推定結果です。この結果をもとに考察を進めます。


7.考察

特に気になった結果について以下に記述します。


・球速
一乗項が正、二乗項が負となっているため、上昇するにつれて与四死球率への寄与も増加します。奪三振率にも同様の傾向があるため、K/BBに最も強く影響する能力であると予想されます。

効果
140→145
0.008
145→150
0.044
150→155
0.081
155→160
0.117
160→165
0.153


・コントロール
一乗項が負、二乗項が正となっているため、上昇するにつれて与四死球率への寄与は減少します。係数が示す通り、全能力の中で最優先に伸ばすべき能力であると言えます。

効果
30→40
0.683
40→50
0.590
50→60
0.497
60→70
0.403
70→80
0.310


・総変化量
一乗項が負、二乗項が正となっているため、上昇するにつれて与四死球率への寄与は減少します。

効果
5→6
0.105
6→7
0.083
7→8
0.061
8→9
0.038
9→10
0.016


・ノビ
一乗項が正、二乗項が負となっているため、上昇するにつれて与四死球率への寄与は増加します。

効果
G→F
-0.078
F→E
-0.023
E→D
0.032
D→C
0.087
C→B
0.142
B→A
0.197


・クイック
4以上で良化効果ありという結果になりました。

効果
G→F
-0.091
F→E
-0.049
E→D
-0.007
D→C
0.034
C→B
0.076
B→A
0.118


奪三振
係数は負で有意となりました。2ストライク時の能力が上昇=他カウント時の能力が相対的に低下という解釈で良いのでしょうか...


・内角攻め
青特の中では最も係数の絶対値が大きくなりました。与四死球率の低い投手を育成する際には優先的に習得させたい能力です。


・四球
以前の検証でも述べましたが、他の特能とは比べ物にならない影響力です。

8.特能のランク分け

以上の結果を踏まえて、係数を基準に特能をランク分けしました。「有意差なし」は与四死球率に影響する可能性が低いことを意味しています。

係数
特能
0.250~
鉄腕
0.150~0.250
内角攻め
0.125~0.150
回またぎ〇速球中心
0.100~0.125
対左打者緊急登板〇
0.050~0.100
ノビ打たれ強さリリース〇
0.000~0.050
クイック
有意差なし
キレ〇逃げ球牽制〇低め〇クロスファイヤー打球反応〇球持ち〇緩急〇球速安定調子安定変化球中心テンポ〇
~0.000
対ピンチ奪三振尻上がり調子極端


9.推定の精度について

12球団を代表して、ヤクルトの石川投手の30回分の与四死球率と理論値を紹介します。

四死球
理論値
1
2.63
2.83
0.20
2
2.22
2.83
0.61
3
2.51
2.84
0.33
4
2.71
2.82
0.11
5
2.89
2.89
0.00
6
2.74
2.91
0.17
7
2.56
2.96
0.40
8
2.15
2.95
0.80
9
2.82
2.94
0.12
10
2.52
2.92
0.40
11
3.60
3.39
0.21
12
3.12
3.41
0.29
13
2.91
3.18
0.27
14
2.42
3.36
0.94
15
3.40
3.39
0.01
16
3.36
3.41
0.05
17
2.96
3.39
0.43
18
3.41
3.20
0.21
19
3.23
3.37
0.14
20
2.41
3.37
0.96
21
3.44
3.37
0.07
22
3.44
3.39
0.05
23
3.07
3.39
0.32
24
2.40
3.38
0.98
25
2.92
3.39
0.47
26
2.75
3.43
0.68
27
3.33
3.44
0.11
28
3.43
3.45
0.02
29
2.67
3.43
0.76
30
2.79
3.42
0.63


10.最後に

次回は野手の三振率と能力の関係について検証します。
最後までご覧いただきありがとうございました!


使用ソフト